140字でちいさな世界

140字でちいさな世界

岬に抱かれた湾は穏やかで、風が吹きつけても荒れることがない。

僕は彼の岬のつもりだった。
平穏こそが彼への愛だと思っていた。

「俺、船を漕ぎ出したいんだ」

彼はいつしか外海へ旅立ち、嵐に打ち勝つ強い女性を伴侶とした。

僕の心は永遠の凪。
彼との美しき思い出だけを、波の如くに繰り返す。

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