140字でちいさな世界

140字でちいさな世界

新月の闇夜、
月明かりで育つ花の種を
つま先に埋めた。

一夜で芽吹いて蔓となり、
脚の皮膚の上を
夜毎なめらかに這い上っていく。

十三夜月の夜、
私は窓辺に立って
白い光をはだかに浴びた。

蔓の先は臍の横、
最早肉の内側に潜り始めている。

月が満ちきる頃には心臓を食い破り、
赤い花を咲かせることだろう。

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