#私が小説を書く理由

#私が小説を書く理由

 書いているとごちゃごちゃの煮っころがしになりそうなので、段階別に整理して書くことにする。
 
 
 
 
【当初:お金が欲しかった】

 私はかつてメンタルを崩して会社を辞めざるを得なくなった結果、地獄みたいにお金が無い時期があって、社会人になってから自分のお金で買ったクルマをやむなく手放した。
 ドライブが好きだったのにそれすらできなくなり、ますますふさぎ込むばかりの日々が続いた。他の人にできることが自分にはできないという辛さもそれに拍車をかけていく。平然と500円を超えるコンビニ弁当をレジに持っていく周囲の人々を苦々しく眺めながら、私は100円で5個入りのつぶあんパンを食べていた。

 そんな中、ブックオフで100円で売られていた文庫本を何の気なしに買った。誰の本だったかはもう忘れてしまったが、昔に流行っていた「ケータイ小説」みたいな文体の本だった。そもそもなんでそんな本買ったのかを当時の自分に問いかけてみたいが、たぶん本当に娯楽がなかったんだと思う。
 ペラペラと読んでみた感想は一言で終わった。

(いやー。つまんなかったな)

 普通の人なら、そして普段なら私だってそこで終わったのに、その時の私はなぜか、更に一歩奥の方へ足を踏み入れてしまう。

(これで本になるなら、自分のほうが面白いの書けそう)

 今にしてみれば「驕るなーーーーーーーー!!!!」って感じですね。もしも私が本当に面白い作品を書けるのなら、かれこれ5年近くネットに文章という除草剤を放流しているわけだし、今頃とっくに直木賞とか獲ってないとおかしいもの。でも今は逆に店の前の街路樹を根こそぎ枯らし……あ、このへんにしておいたほうが良さそうだわ。

 とにかく、そうして(そもそも書いたところでどこに流そうか)と思っていたとき、最初に見つけたのが「ベリーズカフェ」で、たまたま賞金のもらえるコンテストをやっていた。
 勢いで書いて応募した。

 もちろん落ちた。
 ちなみにずっと公開したまま放置していたが、最近読み返したらあまりにも中身の出来がひどすぎたんで即非公開にした。驕るな。

 それでエブリスタとかmonogataryとか色んなところに流れていって、今に至る。
 書きも書きたり夏冬オリンピック3回分かあ。ナンマンダブナンマンダブ。

 
 
 
 
【現在:???】

 たまに考えるんだけど、よくわからない。
「生きている理由」だったときもあるし「褒められたいから」だったときもあれば「金がなくてもできる趣味だから」なんてふざけた理由を述べたときもある。
 正直、訊ねられる度に違うことを答えている自信がある。まあ問われているのが「きっかけ」でなく「理由」なのだから、別にそれでもいいとは思うんだけど。

 突き詰めていけば、きっと最終的に行き着くのは「好きだから」になっちゃうんだろうなあ。恋と同じでさ。性格がいいとか顔がいいとか波長が合うとかあれこれ細かいことを言うことはできるけど、結局のところ「本当に私のこと好きなの?」ってことのほうが重要じゃないですか。
 他人と比べられ続けて、自分よりもすごい人が次々に出てくる趣味って創作くらいだと思う。人の入れ替わりも激しいし。だからこそこうやって自分の胸に(どうしてあなたは書くのですか?)と問いかける機会があるのは、すごくありがたい。モチベーションが上がるもんね。

 つまり「好きなところ100個挙げてもらうより1回キスしてくれたほうが嬉しい」みたいな台詞を作品の登場人物に言わせた私は、なんだかんだ泣き言を言ったり他人を妬んだりそんな自分を嫌いになったりしながらも、結局は小説書くのが楽しいから、好きだからやっているんだろう。じゃなきゃここまで続けられなかったはずだ。
 たまに、誰も読んでくれないのに書いている意味……とか思っちゃうけど、そんなもん他の趣味だって同じだしなあ。たくさんの人に見てもらうことが一番の根本にあるのか、自分が好きでやってたものが何だか知らんけどすごい話題になってた……みたいなスタンスなのかの違いであって。私のような自己肯定感が為替相場くらい上がり下がりする人間はたぶん後者くらいのノリがちょうどいいので、これからもダラダラとやっていこうと思う。
 
 もしも小説書くのが嫌いになったらあっけないほど簡単に作品を全消しして、SNSのアカウントもすべて退会してから、おもむろにソロキャンプとかギターとか始めて結局中途半端で全部辞めて、またここに戻ってくるよ。
 
 
 
 
 あれ?
 
 
 
 
▶にげられない!
 
 
 
 
(ということで、今後とも西野夏葉をよろしくお願いいたします。敬具)

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