北村薫『空飛ぶ馬』
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北村薫『空飛ぶ馬』

今日はミステリー記念日だそうで、色々思いついていたのですが、時々思い出すのが北村薫『空飛ぶ馬』に収録されている『砂糖合戦』です。(かなり読み込んでボロボロですね)
北村薫デビュー作である『空飛ぶ馬』。当初覆面作家だったそうですが、なるほど。
私の一人称で語られる柔らかい文体。今作ではじめて北村薫を知りましたが、すっかり当時は女性と思っておりました。
主人公の女子大生『私』の名前が一切出てこない事、探偵役が噺家という事。作中に出てくる落語も魅力的です。

前置きが長くなりました。
連作短編の『空飛ぶ馬』。砂糖合戦は二話目に出てきます。
街中で偶然出会った二人は喫茶店に行き、そこで私はとある女子グループに違和感をもち…。
鮮やかな噺家探偵、円紫さん。主人公の私とは年齢も離れていて子供もいて、恋愛関係にならないところも穏やかな空気感をだしているのですが、この『砂糖合戦』はいい気分がしません。でも円紫さんの鮮やかな推理のせいか、この作中で語られる『マクベス』の例えが印象に残るからか、喫茶店という身近な場所が舞台だからか。
何かの折に思い出す作品です。
この話を思い出すと読みたくなるのが最終話の『空飛ぶ馬』。可愛らしい話でホッコリするクリスマスストーリーです。
少し濁った心が浄化されます。

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投稿者

桜花音
桜花音

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