140字でちいさな世界

140字でちいさな世界

彼との恋が終わった帰り道、
駅前で風船をもらった。

紐を掴んでいないと
今にも飛び立ちそうな赤い風船。

私は唇を寄せ、
彼に言えなかった本心を囁く。

「貴方が好き。
別れたくなんてなかった」

無様を自分に許せなくて、
最後まで私は強がった。

秘密を託した風船は空に舞い上がり、
風の彼方に消えていった。

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