乗り換えなしでお菓子の国へ行くことが可能にっ!
3月17日
明日から二泊三日で「お菓子の国」へと旅行に行く。今までは電車を乗り継いでしか行けなかった「お菓子の国」がなんと新幹線一本で行けるようになったのだ。私が小さかった頃には考えられない進化だ。いつもは新幹線で駅弁を食べてしまうが明日は我慢しよう。さぁ、お菓子の国で何を食べようか。ワクワクが止まらない。荷物に忘れ物ないかあとで最終チェックをしよう。
3月18日
お菓子の国はすごい。まず国へ入ると街中が甘い匂いに包まれていて、別世界に来たんだと実感した。建物も全部お菓子で出来ている。クッキーやスポンジの土台に、キャンディやイチゴ、生クリームが可愛らしく飾ってあって何を撮っても映える。インスタに上げまくった。出てくるお菓子も全部美味しい。明日は何のお菓子を食べようかな。お菓子だけで暮らせるなんてここはパラダイスだ。
3月19日
お菓子美味しいけれど……ちょっと甘いものばっかりで飽きてきた。しょっぱいものが食べたくなってきた。お菓子の中でもしょっぱいのあるかなぁと街中を探してみたけど、甘さ控えめはあるけれど、しょっぱいのはなかった。あぁ……しょぱいの……。でも歩いていた時にウーパーイーツのリュックを背負った男が旅行者に話しかけていたのを見た。「しょっぱいの食べたくないですか?」と。
気になって話しかけてみたら「しょっぱいのありますよ」と言い、背負ったリュックの中身を見せてきた。しょっぱいのとは言ってもこの国だ。サンドイッチとかのお菓子もどきの軽食だろうと思っていたが、リュックから出てきたのは……小籠包、餃子、ガパオライス、フライドチキン、ラーメンという暴力的な茶色の色をした食べ物たちだった。お菓子の国では茶色くてしょっぱいのは禁止されているのに。「これってお菓子の国では違法なのでは?」と聞くとウーパーイーツの男は「バレなきゃいいんですよ。みんなやってますし」と答えた。私はその中から小籠包を買った。小籠包ならそこまで茶色くない。もしバレても言い逃れができると思ったから。小籠包を口に含むと、噛んだところから口の中へと熱々のスープのじゅあっと飛び込んできた。それと同時に塩みが舌全体へと広がった。久々に感じたしょっぱさ。たまらない。しかも小籠包を食べたあと、また甘いお菓子を食べてみた。すると、しょっぱいのを食べた後の甘いのは単体で食べるよりも数倍美味しかった。私はしょっぱいの→甘いの→しょぱいの→甘いのというしょっぱいの甘いのツアーを無限に繰り返してしまった。手持ちの小籠包がなくなると、またウーパーイーツの男を探して、そこから茶色くてしょっぱいものを買った。小籠包だけではなく、フライドチキンもラーメンも……。そう、別にバレなければ大丈夫だと。そしてまたしょっぱいの甘いのツアーをおこなった。
3月20日
お菓子の国ラストの日。最後だから、豪勢にしょぱいの甘いのツアーをしてやろうとまたウーパーイーツの男に話しかけていたら、警察に見つかった。これは捕まるやつだと思い、速攻逃げた。ウーパーイーツの男はどうなかったかは知らない。私は近くにあったきのことたけのこの森(ちなみにこの森はきのこの山とたけのこの里の和平の証に作られたらしい)へと入り、森の中に身を隠した。しかし、そこで迷子になってしまった。あてもなく歩き続けると遠くから、肉を焼いたような香ばしい匂いが漂ってきた。匂いを辿っていくと、そこではたくさんの人が鉄板の上で肉を焼いていた。その光景をぼぅと見ていると、近くにいたおじさんが「ここは焼肉の国だよ」と教えてくれた。促されて席について焼かれた肉を食べる。それはどうやら牛タンのようだった。レモン汁をつけて口に放り込むと爽やかなレモンの味の中に歯応えのあるタンが噛むごとに旨みを放出する。思わず涙が出た。泣きながら、ミノ、ハラミ、カイノミ、カルビと食べ進めて行って、気づく。サンチェとか、カクテキキムチとかの箸休めになるものはないのかと?おじさんに聞いてみると「それは野菜の国に行かないとないんだ。我々は焼いた肉を食べるだけだ」と寂しそうに答えた。行かなくてはならない。私は席を立ち、再び歩き始めた。
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12月15日
様々な国を経て、私はようやく元暮らしていた地に戻ってくることが出来た。コンビニで買った黒烏龍茶を飲むとラベルに「食生活は主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」と書いてあった。
うん、ほんそれ。
コメント
きのこの山とたけのこの里の和平の証に笑いましたw
一度は行ってみたい国ですね!
ありがとうございます!あとから思いついてどうしても書きたくなってしまったとこでしたw 新幹線一本で行けるのでぜひ!