小説を書いていることを伝えた日
小説を書いていることを、娘に伝えたのは娘が高1の秋のことだった。
それよりさかのぼること四年、娘が小6の時にネットに小説を書き始めた私は、家族にはひた隠しに隠し、携帯電話のメール機能でちまちま書いてはサイトにアップしていた。
夫と娘に隠していたのは、やっぱり恥ずかしいのが第一だったし、夫から金にならない趣味に入れあげていることにいてとやかく言われそうでいやだったのだ。
しかしそうしているうちにも、創作活動は本格化(?)していき、ついには文学フリマへ出店するように。
それが娘が高1のときだった。
地元の文フリに出るばかりではなく、東京にまで行ってしまったのだ。
そのときに、フォロワーさんから娘あてにプレゼントをいただいた。
フォロワーさん手作りのネックレスだ。
娘は高校受験にに苦戦し、また私も苦悩した。私は願掛けのために三か月ほど執筆を絶った。その後、めでたく娘は高校へ入学できた。その経緯をご存じだったフォロワーさんからの贈り物だったのだ。
さて、帰宅して娘へと渡した。
当然のことながら、
「誰からのプレゼント?」
そりゃ聞くよね、普通聞くよね。そして私は答えた。ちょっと口ごもりつつ。
「……太ましき猫さん……」
「は?」
「太ましき猫さんって、人だよ」
そして私は白状するしかないと悟った。実は、あなたの母は小説を書いている。今回東京へ文学フリマを見に行ったのではなく、出店してきたのだと。
娘は驚いたが、もとももと本好きだったので、すんなりと受け入れてくれた。
ありがたいことに、その後はとてもわたしに協力してくれた。小説講座へ出席するとき、父親の気を引き付けてくれたり、作業中一人にしてくれたり。
一応、18歳になるまではわたしの作品は読んでくれるな、と頼んでいたが娘はすでに二十歳を越した。
でも今も読んでいる様子はないので、好きにしてくれたらいいと思う。
夫へは去年カミングアウトしたが、それはそれは面倒なことだったので、今回はこれまでとしたい。
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