
蜂賀三月『無料モニター』の感想《ネタバレ注意》
まず、タイトルの作品は『3分間ノンストップショートストーリー ラストで君は「まさか!」と言う 都市伝説』に収録されている短編小説です。
公式サイトはこちら。→ https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-88236-9
自分だけがグループ内の話題に乗り遅れてしまっている主人公・シュウの焦り、周りの子が持っている物を自分は持っていないことへの苛立ち、どちらもかつて子供だった人間として理解できる感情でした。なおかつ、今の子供って大変だなとも思いました。ネットの情報スピードはテレビや新聞の比ではないですからね。
話は進み。スーコンを手に入れたシュウが、なろう風に言うならばチート状態となり、優越感や万能感で満たされていたであろうことが容易に想像できました。勉強は自力でしないと泣きを見るぞ…とも思いましたがw
しかし、タイトル通りあくまでもモニターであって購入者ではないシュウが山口さんの言葉を無視し、スーコンを自分のものにしようとしてしまう様は哀れでありながらもすごく共感できました。
人間は一度、楽や贅沢を覚えてしまうと今までの状態や状況には戻りたくないと思ってしまうものです。
私もシュウのようにスーコンを試してみて、その便利さに魅了されてしまったら、メーカーに返却するのが惜しくなってしまう気がします。とはいえ、なんらかの罰があったら怖いのでたぶん渋々返却しますがw
最後の展開と挿し絵に「ギャッ」と思いました。シュウの強欲さが招いた結末ではありますが、自業自得という言葉で片付けたくはないですね。
その理由は、ハイテクデンシの山口さんが怪しすぎるからです。
いやほんと。山口さん、めちゃくちゃ怪しいですよ!
シュウ自身は、声変わりのお陰で山口さんは俺のことを子供ではなく大人だと思っているシメシメ…と考えていましたが、それはあくまでシュウが勝手にそう思っていただけです。
山口さんが本当にシュウを大人だと思っていたのか否か、実際にはわかりません。
さらには、スーコンなんて夢のような機械を現代の技術力でどうやって作るのでしょうか。そもそもハイテクデンシなんて会社、シュウのいる世界に実在しているのでしょうか?
ハイテクデンシも山口さんも、実在していないのでは?誰かがハイテクデンシの山口を騙っているだけなのでは?
他にも、ハイテクデンシは現代ではなく未来の世界に存在している会社で山口さんは未来の人間なのかなとか、ハイテクデンシなんてやはりどこにも存在していなくて、山口さんは悪魔の商人みたいな人間ではない存在なのかも…などと考えたりしました。
でも山口さんは、シュウが電話を切る前に何かを叫んでいたとあるので、ちゃんと忠告してくれていた可能性が高いんですよね。
「目玉取れますよ!!」と言ってくれていたのかもw でも結局、再度電話を掛けてまで忠告して来ないあたりがどうにも怪しいんですよね。
最後に。作中に出てきた動画チャンネル「ネバーツー」が同作者の『キトンブルーの価値』に出てきた動画チャンネル「ネバースリー」の数字違いで、「おっ!」と思いました。
※添付画像はフリー素材サイト『ぱくたそ』様より。
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