読了:『セカンドキャリア』
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読了:『セカンドキャリア』

動物愛護に関心のある著者が、競走馬たちが引退した後の行く先、
いわば競走馬の「セカンドキャリア」を追いかけていくノンフィクションです。

毎年引退する競走馬の数は、7000頭。
うち、行方不明になる馬が6000頭。

この衝撃的な数字を提示した上で、行方不明になる馬を少しでも減らそうという
取り組みをしている人たちを追いかけていきます。

その過程で、「行方不明」とされている馬の行き先として肥育場の存在が示されていますが

私は、引退競走馬を自分の立場に置き換えて考えると、
①肥育場に行って存分にご飯を食べて、二~三か月後に食用にされるべく処分される
②リトレーニングセンターに行って、時には競走馬として育ってきた環境、価値観を否定されるようなレッスンを受けながら第二の人生を歩む

の二択をいま迫られたら、①のほうが魅力的に感じてしまうな、と思いました。

むちろん②の取り組みに力を入れるべきだ、という文脈の本ですし
私も競走馬が行方不明になるのは不健全だと思うので、本書の主旨には賛同するのですが

私個人に置き換えて考えると、いくら周りから働き過ぎだとの誹りを受けようとも
いままでの己の働き方を否定されてまで、長生きしたくないなと思ってしまいます。

しかも、引退を迎えた時点でほとんどの競走馬たちは結果を残せず、
肉体的にも精神的にも疲労を蓄積している状態なわけですから
セカンドキャリアを歩むよりは、さっさと人生を終わりにしたいという心情になってしまうような気がします。

こんなことを考えてしまうのは、私が疲れているからかもしれませんが。

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水涸 木犀
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