読了:『妻に捧げた1778話』
私が小説を書いている大きな理由の一つに、
「私が書いた文章を読むのを楽しみにしてくれている、
読書好きな老齢の祖父に読んでもらいたい」というのがあるのですが
本書のあらすじを見て、眉村卓さんが私と近いモチベーションで書いた物語が収録されているのかなと思い、手に取りました。
眉村卓さんといえば、今はたぶんもうない「青い鳥文庫 fシリーズ」の『ねらわれた学園』『なぞの転校生』などのジュブナイルSFの印象が強い作家さんです。
しかし本作では、あくまで「奥さんに読んでもらうための物語」ということで、様々な筆致の作品が登場します
(商業作品と遜色ないレベルの作品にする、というルールを設けていたそうなので、クオリティは高いです)。
癌と宣告された妻に、毎日短編を書いて読んでもらうという日々を繰り返した眉村さん。妻の死期が近づくごとに、その筆致も次第に変化していきます。
本書は物語の構想を練る・書く・読んでもらうことを通じて、最愛の人とコミュニケーションをとった記録です。
私はこれから祖父に、どんな物語を届けられるだろうか。
色々なことを考えさせられる作品でした。
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