⚠後半、軽い"描写"のネタバレがあるので気をつけてください⚠
先週ちょうど時間に空きが生まれたので、「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」(通称:ゲ謎)を観てきました。
一応、事前情報として「とんでもない地獄」だという事は耳にしてました。
あと、「『墓場の鬼太郎』の1話だけでも事前履修しておくといいよ」とも聞いたので、久しぶりに見返してから行きました。
ちなみに、私自身の「ゲゲゲの鬼太郎」視聴歴を公開しておくと、「ゲゲゲの鬼太郎」の2期・4期と「墓場の鬼太郎」のみ履修済みといった感じです。にわかですまない……。
映画館の上映時間を調べてる時に気づいたんですが、この映画、104分しかないんですね。2時間もない。一体、この2時間未満の間に人々の身に何があったというのか。それを知るためにも、我々はゲ謎村へと入村した。
というわけで、入村後の結論。
地獄。
しかもコイツ、後を引くタイプの地獄だ。
各シーンについて考えれば考えるほど、いらない地獄に気付かされる。
作中で鬼太郎の親父さんが「見えているものだけが世界じゃない」的なことを言ってたんですけど、マジでそれ。表面上も地獄なんですけど、地中奥深くまで地獄の業火が煮えくり返ってやがる。深掘りしたらした分、地獄を見せつけられる。でも這い上がっても地獄しか広がってない。逃げられない。ここは地獄。
映画視聴後、しばらく席から立てなかったです。
感情がぐちゃぐちゃに揺さぶられて、めちゃくちゃズビズビ泣いてました。
個人的な考察ですが、主な地獄形成の原因はたぶん、各キャラの作り込みにあると思われます。
たとえば、主役の1人である水木。
彼は兵隊あがり(作中の舞台は戦後の昭和です)のサラリーマンなのですが、作中ではこの「兵隊上がり」を意識していると思われる描写が多々見られました。
映画序盤。本作のキーとなる一族の者達が亡くなった当主の遺言書をきっかけに、一族同士で物理的に争うシーンが描かれているのですが、その場に居た水木は場の混乱が起こる直前にサッとその場から退散してました。
慌てて逃亡というよりは「まずくなるから逃げとくか」って感じの冷静さがある落ち着いた逃亡姿で、状況判断が早い男だなと感心した覚えがあります。
妖怪や幽霊族について知った時も、驚きはしたもののすぐに受け入れてた。状況への適応能力がありすぎるよ、この男。
ご飯を食べるシーンも印象的でした。
誰にも取られないし、ゆっくり食べる時間だってあるはずなのに、切羽詰まったようにかっくらってた。
それについての説明は作中では一切なかったんですけど、たぶんあれ、戦争に行っていた時についた癖みたいなものだと思われます。戦場で悠長にご飯なんて食べていられるはずがないし。
判断力も適応力も食事シーンも、全部きっと彼が戦場で生き残る為に身についたものなんだろうなと、そんな推測をせざるを得ません。
ちなみに対比なのか、鬼太郎父の食事はのんびりマイペースな感じでした。蕎麦をすするというか、飲むみたいな勢いの食い方してた。肺活量どうなってんだ、幽霊族。
そのほかのキャラクター達も些細な言動から細かい人物像が見えてきて、全体的に「説明せずに見せつけてくる」描写が多かったように思います。
おかげで「この人はこうだったんじゃないか」「このシーンのあの言動には、こういう思いがあったりしたんじゃないか」等々いろいろ考えてしまって、この地獄の輪廻から抜け出せません。タスケテ、タスケテ……。
特に本作ヒロイン枠と思われる沙代ちゃんについて考えると、もう「沙代(泣)」しか言えなくなる。
「どうしてそんなことしたの(絶望)(混乱)(悲しみ)(感謝)(制作陣への敬意)」って気持ちで、もうずっと過ごしてます。
しかして、この地獄の作り込み、仮にも物書きとして活動している者としてはとても参考になる。
「ここまで作り込むといいぞ」っていう、超お手本を見せられた気持ちです。
今後、キャラの作り込みの参考にさせていただきたい。
私もこういう後を引くタイプの地獄を書いてみたいなぁ。
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