#私が小説を書く理由

#私が小説を書く理由

昔から自分は「精神的露出狂」なんだと思っている。
自分が考えていることを周りに知ってもらいたい。
自分が好きなものはみんなにも好きになってもらいたい。
小さい頃から、人一倍そういう欲求が強かったように思う。

ただ、残念なことに。
自分には、自分自身を表現することを押し付けても許されるほどの圧倒的な個性やら、才能やら、カリスマやら、そういったものは持ち合わせていなかった。
勉強だの運動だの含め、多少は周りよりも出来のいいジャンルはあったけれども、それでも一番になれるようなことはなかった。
変わった出自を持つわけでもなく、波乱万丈な出来事があるわけでもなく。

そういう自覚がわりと早くからあったので、ずっと『変わり者』になりたかった。
頭いいねとか運動できるねとかよりも、「お前ってちょっとヘンなヤツだな」と言われたかった。
他人と違うことをしたかったし、他人と違うと思われたかった。

そういう意味で、「物語を紡ぐ」という行為は、うってつけだった。
小学生の頃は、自由帳にゲームのステージやら漫画やら架空のRPGの世界地図やらを書いていた。
それがだんだん、「小説ってかっこいいよな」みたいなシンプルな憧れから、物語になっていったという。
よく「将来の夢は『売れない作家』です」とか言って、周囲を困惑させていた。
今思えばそりゃあもう屈折した自意識満載でだいぶ恥ずかしいけど、そういうのがなければ今の自分もないので、別に後悔はしていない。

基本的には凡人なので、現実に屈したり挫折したり妥協したりを重ねて、特に尖ってもいない大人になった。
でも、あけすけに出すようなことはしなくなったけれど、やっぱり本質は露出狂だったり。
常に他人と違ったことを考えようとしたり、そのために物事を多面的に見ようとしたり。
そういう部分はずっと持ち続けてきたことが、ひとつ強みにはなっているのかなとは思う。

結婚、転職、転居、子育て。
とても趣味に時間を割く余裕がなかった10年間の創作空白期間を経て小説をまた書き始めたのも、投稿サイトが増えて昔よりも注目を浴びやすくなったから、という点は大きかった。しかも某アーティストの原作になれるかも、なんてドリームもあったしね。
まあ、そこからコンテスト以外でも毎日毎日何かしら書き続けることになるまでになるとは、思っていなかったけれども。

「書かずにはいられなかった」なんてとても言えない。
「絶対に書籍化したい」なんて立派な夢を持っているわけでもない。
小説以外にも、日記やら作曲やら写真やら音楽レビューやらいろいろな表現に手を出してきた中で、
たまたま今、一番自分の表現欲求に合っているのが、小説というだけなんだと思う。

なお、これもだいぶ前から宣言しているけど、もし創作意欲が薄れてきたら、スピッツのファンサイト(全曲解説付き)を作るつもりである。自分の内側から湧きあがってくるものがなくなっても、好きなものを語るならまだまだいくらでも続けられると思うし、そのうちにまた表現欲も復活するかもしれないし。

でも、今のところ小説を書き続けていくことについても意欲が衰えないし(割ける時間は減ってしまったけど)、まあ一生続けられるのかもなあ、と最近では思えてきている。

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