#小説を書いていることを伝えた日

#小説を書いていることを伝えた日

それが起きたのは、私がまだ高校生だった頃。

ある日の昼休み。
食堂で他クラスの友人達と昼食を食べ終え、教室に戻ってきた時のことでした。

「なにかあったら、なんでも相談していいからね!」――そう真剣に言いながら、私を同クラの友人達が出迎えてきたのです。

なにが起きたのかよくわからぬまま、「はあ????」と曖昧に返事をした直後、彼女らの手に握られているものを見て、悲鳴が飛び出そうになりました。

「なぜ、お前らが私が書いた小説を持ってる!?」と。

これが、私が初めて誰かに「小説を書いていることを伝えた日」、もとい、「小説を書いていることが『バレた』日」の話になります(白目)

当時の私はパソコンなんて高度なものを使いこなすことができず、ルーズリーフを使って小説を書いていました。

家でも学校でも暇があるとルーズリーフにペンを走らせては、なにがしかのお話を書き、それをバインダーに閉じて保存する日々。
人前に出そうという考えは一切なく、むしろ見られるのは恥ずかしいので、隠れつつ1人でこっそり書いていたぐらいでした。

それが、まさか友人達にそれが見つかる日が来るとは、はたして誰が予想できたか。

見つけてしまった友人達いわく、お昼を食べるスペースを作るのに私の席を借りようとした際、机を動かした衝撃で中に入っていた教科書やらなんやらを落としてしまったとのこと。
その時に、一緒になって引き出しに入っていた小説の書かれたルーズリーフも落ちてしまい、彼女達の目に留まることになったようです。
嘘みたいな本当の話(涙)

ちなみに、その時友人達が読んだ私の小説のジャンルは「復讐譚(童話風)」でした。

外見差別が原因で国から捨てられた王子様が、大きくなって国に復讐するってお話。
最後は王子様がヤンデレと化してたし、国も滅びてた。
そりゃあ、「何かあったら、なんでも相談していい」って言われるわ(白目)

そんな感じで、友人達に心配をかけてしまった勝哉ですが、今思えば彼女達は私が小説を書いているのを知っても、それをからかうようなことはなかったなぁ、と。

からかうこともなければ、下手に「凄い」「よく書けるね」等々の褒めや持ち上げもなかった。
ただ、私が「小説を書いている」という事実をそのまま受け入れ、それ以上でも以下でもなかった。

私が「小説の専攻がある学校に行くことにした」と話した際も、「そういう専門もあるんだ~」ぐらいな感じで、凄く応援してくれるとかそういうのもありませんでした。
ただただ、それも1つの「進路」として、そういうものとして受け入れてくれた。

プライベートな話になるのであまり詳しくは言えないのですが、実はこの頃の私はとある理由から、「『普通』に生きなくちゃいけない」「『ほかの人と違う』と思われるようなことはしちゃいけない」という考えにとらわれて生きていました。

「小説を書く」というのはどう考えても「普通」のことじゃないし、「ほかの人と違う」と思われそうなことなので、もしあの時友人達に「小説を書く」ことを追求されていたら、書くのをやめていたかもしれません。
それがたとえ、褒め言葉であったとしても、です。

だって褒められるって、それだけでほかの人より優れてる何かがあるってことになるじゃないですか。
それじゃあ、「ほかの人と違う」ものを持った人ってことになっちゃう。

小説をあまり読まない友人達だったので、彼女達のあの反応はそれが理由だったのかなぁと、今なら思います。
しかし理由はどうあれ、偏見も何もなく、ただただあるがままの事実として受け入れてくれたのは上記のような状態にいた自分にとっては、本当に気が楽になる話でした。

あと、一度人に見られたことで、他者の目に自作を晒すのを躊躇しなくなりました(笑)
「これ以上の恥ずかしい見られ方はもうないじゃろ!」って感じに。

本人達には絶対に恥ずかしくて言えないけど、友人達へ、あの時はただ受け入れてくれてありがとう。

おかげで、今日も勝哉は惜しげもなく人目に自作を晒せています。
これからも、やれる限りは小説を人目に晒し続けたいです(笑)

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