モノコン初参加の筆者による、モノコン2023参加記録

モノコン初参加の筆者による、モノコン2023参加記録

はじめに

 こちらのサイト、We novel labo(以下、ウィノベラボ)の利用を始めたのが今年の7月7日。そのころからぽつぽつと、「モノコン」なるワードがサイト上に散見されました。

「モノコンってなんだろう」

 恥ずかしながらモノコンの存在を知らなかった私は、monogatary.comという小説投稿サイトが毎年夏ごろに主催している一連のコンテストであることを初めて知りました。
 普段はカクヨムを中心に活動している私。あまり他サイトに手を広げても管理しきれなくなってしまう(実際のところ、Novel DAYSとprologueにもアカウントがありますが、開店休業状態です)ので、一度調べた際は参加するつもりはありませんでした。

 しかし、ウィノベラボユーザーの百度ここ愛さんが「モノコンスタンプラリー」なる台紙を作成されているのを見て、スタンプラリー好きな私の心に火が付きました。

「7つもコンテストがあるし、どれも短編で応募ができそう。ならば、全部コンプリートしてみたい」

 そんな次第で、新たな小説投稿サイトへの登録を躊躇っていた己はどこへやら、monogatary.comのアカウントを作成してモノコン2023への挑戦を始めることとなりました。

コンテスト参加① ネイル詩人賞

「手始めに、すぐにアイデアが思いつくものから挑戦しよう」

 そう思った私が真っ先に着手したのは、100字以内で応募ができるネイル詩人賞でした。
 詩を書いた経験はあまりありませんが、ふと思いついたフレーズを組み合わせて応募しました。
 応募した2作はともに恋愛ものです。1作目がややダークな雰囲気だったので、もうひとつ青春っぽい雰囲気のものもアップしたいと思い、他の部門と前後する形で2作目をあげた次第です。

 完全に思い付きで書いたのですが、ネイルになるということでもっと色にこだわった作品にすればよかったなという反省があります。茜色はともかく、群青色はネイルにするにはどうなのだろうという色味でしたし。今度色がらみのコンテストがあるときは、日本古来の色などを織り込んで挑戦してみたいですね。

『覆い隠した本心』
https://monogatary.com/story/446601
『内に秘めた想い』
https://monogatary.com/story/448063

コンテスト参加② こぎみゅん賞

 詩の次にハードルが低そうだったのが、自由律俳句ならなんでもOKのこぎみゅん賞。ちょうどカクヨムでも「短歌・俳句コンテスト」なるものが夏前に開催されていたこともあり、個人的にはタイムリーな部門でした。もっとも、カクヨムの方は短歌二十連作で応募しているため、こちらとはだいぶ趣が異なりますが。

 ネイル詩人賞同様、ぱっと思いついたアイデア3つを俳句にしたため応募しました。頭を絞ればいくらでも出てきそうですが、大賞がこぎみゅんのイラスト化ということで、正直あまりそそられなかったこともあり3つで打ち止めとなりました。

 ウィノベラボの個別ポストでも書きましたが、3つの中では「はちみつキャンディ」が個人的にお気に入りです。

『はちみつキャンディ』
https://monogatary.com/story/446707
『ドクターイエロー』
https://monogatary.com/story/446851
『欲しかった本』
https://monogatary.com/story/446851

コンテスト参加③ 夏休み自由研究

 〆切が長いほうのお題ですが、「自由研究」と銘打ってある以上長期間の不定期投稿で進めていきたいと思ったので、早めにスタートを切ることになりました。
 ネタは「少し変わった」飲料のレポにすると最初から決めていました。私はもともとコンビニや自販機、各種飲食店で新商品、ないし異色の飲み物があるとそれを購入しがちという傾向があり、それを後から振り返れるようにまとめてみたら面白いんじゃないかと思った次第です。
 ちなみにここでいう「少し変わった」というのは、味が想像できないものか、パッケージデザインが独特なもの、あるいは販路が限定されていて入手機会が限られるもの(例:自販機限定、ローカルスーパー限定など)を指します。

 8月13日から投稿を始め、10月17日までの約二か月間で14種類の飲料を試し、まとめの章もつけてレポートの形にまとめました。ざっくり計算すると4日に1本、「少し変わった」飲み物を試していた計算になります。この数が多いか少ないかはわかりませんが、一応公式の見本作品を見て「多すぎず、少なすぎず」な本数にまとめたつもりです。
※モノコン公式さんが見本としてアップしていた作品は全8話のものと、全11話のものの2作がありました。文字数制限はないのであまり気にすることもないかもしれませんが、ここから大きく逸脱したボリューム感で応募する勇気はモノコン初心者の私にはありませんでした。

 コンテスト期間内で、私が応募した作品の中で最も反響があったのがこの自由研究でした。X上では「気になっていた飲料をレポしてもらえてありがたかった」というお言葉をいただけたり、monogatary上でも「これを機に探してみます」というコメントを貰えたりと、交流のきっかけになったことが嬉しかったです。

『先生!わたしちょっと変わった飲み物を見つけました!』
https://monogatary.com/story/447264

コンテスト参加④ 聴くモノガタリードットコム+

 自由研究をだらだらと上げているうちに8月も下旬になり、〆切が短いほうのお題の応募期限が迫ってきました。そんな中、私は表題の作品を考えるのに苦慮していました。これまでの音声ドラマ作品が十分前後のボリュームであることから、400字×10分=4,000字くらいの作品にすることは早めに決まったのですが、お題の『改稿』を絡めた物語がなかなか思いつかなかったのです。
 結局、締め切り直前まで悩み、「モノコンは全部門に参加することが目的であり、受賞は二の次」と開き直った結果書き上げることができました。

 「受賞は二の次」と強調したのは、応募作に某ガンダム作品のあらすじ及び固有名詞が思いっきり登場するからです。基本的に、コンテスト作品で既存のアニメや漫画の実名を出すことは好ましくないと思われます(モノコンにはそのあたりの規定が書かれていないので、実際の良しあしはわかりませんが)。しかし私が好きなビルドファイターズシリーズの布教のためと割り切ったことで、スムーズに書き上げることができました。

 なお、本作に登場するガンダムビルドファイターズシリーズの最新作、「ガンダムビルドメタバース」がYoutube・ガンダムチャンネルにて絶賛公開中です! 前作までを見ている人のほうが楽しめるとは思いますが、メタバース空間でプラモデルを操縦して戦うという夢がある内容となっておりますので、興味のある方はぜひ見てみてください( ´艸`)

『Rinascita』
https://monogatary.com/story/449680

コンテスト参加⑤ 空想アニメ賞

 個人的には7つのコンテストの中で最も魅力を感じている賞です。作品に合わせた楽曲を作ってもらえるという、ソニーが運営しているmonogatary.comならではの賞であることもさることながら、「キャラデザが決まっており、そこからアニメの第一話を考える」という設定が他の小説サイトのコンテストにはない形式だと感じました。
 私は小説を書く時いつもキャラデザで詰まるケースが多いので、もともとキャラデザが決まっている本部門はありがたくもありました。

 女の子四人が活躍する物語を考えた時、真っ先に思い付いたのはプリキュアシリーズです。「女の子だって戦いたい!」をコンセプトに変身してバリバリ戦う女の子たち。いつかああいう作品を書いてみたいと思ったのですが、あれは衣装・キャラデザ・戦闘シーンと視覚的に惹きつける要素が多数組み合わさっているため、小説という媒体には合わないのではないかという気もしていました。
 しかし、今回の部門で募集されているのは「アニメの第一話」。つまり文章の形でありながら、映像がイメージできるような作品が求められているわけです。これはプリキュア的な作品を書きたいという、私の長年の願いを実現させる時なのでは! と思い一気に設定を練っていきました。

 元々プリキュア的な作品を書いてみたいと思っていたこともあり、他の部門の応募作品に比べて設定はかなり詳しく決めました。プリキュアと差別化する意味で、戦闘チームは和風の「花姫」という名前にしてそれぞれが花をモチーフにした戦闘スタイルをとる、ということにしています。

 書いていて苦労したのはやはり、変身シーンと戦闘シーンでした。両者とも映像で見せれば一瞬で理解できるものを、文字に起こすのはやぼったい感じがして難しかったです。しかし、長年の夢だった「和風プリキュアを書く」というミッションを達成することができて満足しています。

 今はカクヨムで「全ジャンル十万字前後の完結済み長編を書く」という目標を最優先に取り組んでいるのですが、それが落ち着き次第(めどが立ち次第)本作の続編の執筆に取り掛かりたいと思います。もしかしたら執筆意欲が増して、もっと早く着手するかもしれませんが、ともあれ本作は完結までもっていきたい作品となりました。

『五芒星の花姫』
https://monogatary.com/story/452356

コンテスト参加⑥ ライトノベル原作賞

 7つの部門の中で、これだけ全くネタが浮かばず困っていました。私は異世界転生ものを書いたことがないのに加え、「自分が書いてきた小説はライトノベルではない」という意識があるためです。もっとも、部門のレギュレーションを見る限り「異世界転生」に縛られる必要はなさそうですが、人生やり直しというテーマのラノベ作品となるとどうしても、転生ものを募集元は求めているのではないかという印象を受けます。
 歴史上の悪人が転生して善政を敷く話や、美女に引っかかって身を滅ぼした男性が女性に近づかずストイックな人生を歩もうとする話などを考えていましたが、どれもストーリーラインが思い浮かばず「モノコンコンプリートは無理かもしれない」とあきらめかけていました。

 そんな時、私がカクヨム上で愛読している宇部松清さんのエッセイにて「左利き」というトピックの話を読みました。「異世界転生して活躍する勇者は右利きという無言の約束がある気がするが、左利きの人間が転生したらどうなるのだろうか?」という問題提起をされているのを見たうえで、コメントでのやり取りで「是非このネタで書いてみてください!」と言われた私は思いました。このネタ、ラノベ原作賞に使えるのではないか、と。

 この思い付きが生まれた時点ですでに時は9月27日。ここから十万字超の長編を書いている余裕はありません。ましてや書いたことのない異世界転生ものかつ「左利きあるある」を詰め込む一発ネタ系の物語。書けるとしたらせいぜい「転生する→仲間を集める→魔王を倒す」という王道中の王道ストーリーでしょう。幸いなことに、この部門は参考文字数として「短編ラノベ=2万字~4万字」という文字数が示されています。こちらの文字数に合わせて書いていくことにしました。

 とにかく経験値がない分野なので、上述した王道ストーリーに左利きあるあるを詰め込んでいく構成にして、それ以外には一切ひねりを加えないことにしました。結果的に、あまり頭を使わず一気に書き進めることができました。ネタを思いついたのが9月27日、執筆完了が10月12日と全3万字の中編ではありますが、かなりハイペースでの完成となりました。

 ネタを提供してくださった宇部さんが読みに来てくださった上、「面白かったです」とおっしゃってくださりありがたかったです。宇部さんのエッセイを読んでいなければ生まれることのなかった作品ですので、改めてネタがどこに落ちているかはわからないものだなと思いました。
 いつもと違うジャンルの作品を書きたい場合は特に、日々、幅広くアンテナを広げておくことが重要だということを強く感じました。

『ただの勇者だとありふれているので、左利きに生まれ変わって魔王を倒す旅に出る』
https://monogatary.com/story/453205

コンテスト参加⑦ 文藝×monogatary.comコラボ賞

 モノコン開始時には???とされていた本部門。内容が明かされた際には、「ぜひ力を入れて参加したい!」と思いました。というのも、私がこの夏の時間すべてを注いで取り組んできたのが「文学界新人賞」に向けた原稿づくり。ちょうど一般文藝の公募に取り組んでいたところだったのです。
 とはいえ一般文藝、純文学の定義は正直よくわかりません。歴代芥川賞受賞作を何作か読み、「(選考委員から見て)今までにないジャンル/切り口の作品」が評価される分野なのだと理解しましたが、果たして私の書いた作品がそれを達成できているのかどうか。

 また、時系列的には⑥と⑦の間位の時期に既にどんな話にするかは決めていたのですが、ストーリーラインが全く思い浮かばずにしばし悩みました。「常に雨が降っている世界」と現実世界が併存する状態で生きている少女の物語を、どう膨らませていくか。雨ソングを色々聞いてみるなどしてヒントを求めた結果、できあがったのが『雨が降る世界』です。この世のどこかにいるかもしれない、それでいて少し世間とずれている大学生の日常を描いてみました。
 もっと時間があれば、情景描写や雨の描写に力を入れたかったのですが、執筆に取り掛かったタイミングが遅くじっくり構成している余裕が無かったので、最低限の校正だけして応募する運びとなりました。やはり受賞作が書籍化するという魅力が大きいからでしょうか。後半戦のなかでけた違いに応募数が多くて驚きました。

 一般文藝での短編~中編コンテストは珍しいので、本部門の中間突破作品を読めば、「いま一般文藝に求められているものは何か」が見えてきそうで楽しみです。応募総数的に中間選考の結果が出るのがカクヨムコンの時期と被りそうなので、どの程度読みに行けるかはわかりませんがなるべく目を通して研究したいと思います。

『雨が降る世界』
https://monogatary.com/story/454606

全体を通しての所感

 というわけで、ぎりぎり滑り込みセーフではありましたが、何とか全7部門に作品を応募するという当初の目標を達成することができました! モノコンの存在を教えてくださったウィノベラボユーザーの皆様、スタンプラリー台紙を作ってくださった百度ここ愛さん、改めて御礼申し上げます。
 以下、コンテスト全体を通しての感想及び、monogatary.comの使い勝手についての意見を書いていきたいと思います。

◆コンテスト全体を通して
 最近のカクヨムのコンテストは、主催者側が条件を細かく指定してきている傾向が強いです。特に中編のコンテストはそうです。選考レーベルの「参考図書」が提示されるのはもちろん、「女主人公であること」「舞台が異世界であること」「恋愛要素があること」まで募集要項に書かれていたりします。
 これは、毎回コンテストが開催されるたびに相当な数のカテゴリーエラー作品が応募されることを問題視した運営が、それを防ぐために行っている措置だと思われます。

 しかし、モノコン2023は良くも悪くも、募集要項がざっくりしているなという印象を受けました。明確な字数規定があったのはネイルエス詩人賞と文藝×monogatary.comコラボ賞だけで、あとは字数はおろか完結済みか否かの指定すらありません。普段ルールがぎちぎちに指定されたカクヨムのコンテストや公募に出している私にとっては、ざっくりしすぎていて逆に戸惑ったほどです。一応「第一話だけを書く」設定の空想アニメ賞以外は「完結」にしておいたのですが、それで合っているのでしょうか……?

 このざっくり加減は、monogatary.comのユーザーがカクヨムに比べて少ない(=小規模)ためなのか、monogataryユーザーの民度が高く、わざわざ書かなくてもカテゴリーエラー作品があまり生じないためなのかはわかりません。その分ユーザー側の解釈の余地が大きく、意図せずにカテゴリーエラーになるリスクも大きいと感じました。その意味で、普段monogatary.comを使っておらず、コンテストだけ参加している私のようなユーザーは、運営側の意味を読み取るのに一層苦労するのではないかと思います。
 逆に言えば、monogtaryユーザーが有利になるように、「運営側が求めていること」をあえて非言語化しているのかもしれないという気もしました。

◆monogatary.comを使ってみて
 私はテキストエディタで小説を書き、それを小説投稿サイトにコピペするという投稿スタイルをとっているのですが、正直なところmonogatary.comは使いにくいなと感じる面がいくつかありました。ざっくりと箇条書きにすると以下の通りです。

・「お題」で検索すると作品別ではなく章別に表示されるため、「その作品の第1話」を読みに行くのに手間がかかる
・→章別の表記のため、「このお題の作品一覧」で示される作品数が文字通り「作品の数」なのか「章の数」なのかの判別がつきにくい
・PVの推移がわからないため、自分の作品が読まれているのか、読まれていたとして何話目で離脱されているのかの分析ができない
・予約投稿ができない
・表紙画像やフォントを指定する必要があるが、過去の履歴が2~3件しか保存されないので同時並行で複数作品を連載していると、いちいち1話更新するたびに設定し直さなければならず面倒
・複数の章にまたがる見出しが設定できない(例:第〇部 など)
・PVが見えない以上拍手や感情リアクションで反応を見たいところだが、あまりリアクションが貰えない
・相手の作品にコメントをした際に、返信してもらえた場合も通知がこない

 上記の特徴を踏まえると、monogatary.comは本来「出されたお題に対し、即興で1話完結の作品を仕上げる」短編特化型のプラットフォームなのかなという印象を受けました。そもそも一話当たりの上限が決まっていますし、長編の連載をするのには向いていないというのが率直な感想です。
 今回のモノコン2023も、長編で応募できそうなのはライトノベル原作賞1つだけでしたが、これも「お題」のページに行くと短編ライトノベル:2万~4万字としか記されていないので、運営側は短編ライトノベルを求めているのではないかという気がします。基本的に、monogatary.comは1話完結の短編を書くための場所で、それ以外の作品をメインで書きたい場合は別の投稿サイトを使ったほうが良いのではないかと思います。

 こうした理由から、私の今後のweb小説の執筆の場が基本的にカクヨム中心になることは変わりないと思います。しかし、モノコン2023に参加することで創作の幅が広がったと感じたのも事実です。これからは時たまmonogatary.comものぞいてみて、興味深いコンテストが開催された際には参加してみるつもりでいます。

 長くなりましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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